理事長側近らが逮捕された日本大学と、会長自身が罪に問われた日産自動車。東京地検特捜部が切り込んだ二つの組織の共通点は、長年トップに君臨する「絶対的権力者」が存在することだ――。ガバナンス(統治)に詳しい八田進二・青山学院大名誉教授はこう指摘する。事件の類似性や根底にある問題は何なのか。話を聞いた。
非営利法人であれ営利法人であれ、組織を健全に運営させるために重要なのは健全なガバナンスです。理事長や代表取締役といった「船頭」のかじ取りをチェックする必要があります。それには業務執行のグループと監視監督のグループを分け、後者が前者をしっかりと見ないといけない。監視役として期待されるのが、学校だと理事会、会社だと取締役会です。
日大や日産の場合、この理事会や取締役会が機能していたかというと怪しい。どちらもトップに権限が一極集中する構造ができあがっていたのではないかと思います。
日大の田中英寿理事長は5期目に入り、13年間トップの座に就いています。日産のカルロス・ゴーン元会長の体制は20年続きました。田中理事長はアマチュア相撲界で、ゴーン元会長はグローバル企業でそれぞれ成功を収め、輝かしい経歴がある。強いリーダーがいると意思決定が早く、悪いことばかりではありません。
長期政権が招く「恐怖政治」
ただ、長期政権になると知らぬうちに権限は集中するもの。ゴーン元会長は気に入らない部下を左遷していたと聞きます。まさに「恐怖政治」です。おのずと周囲にイエスマンや聞こえのよいことを言う人しかいなくなります。
日大事件で逮捕された元理事…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル